本から明日をつくる

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水都学・洪水の歴史から学べること~西日本の大雨の被害を考えるために

今回の西日本の大雨、とんでもない被害になってしまいましたね…。

被害にあわれた方にはどうか少しでも早く日常生活に戻ることができるのを祈るばかりです。

 

さて、今回のような大雨の被害、近年の日本では珍しく感じますが、世界中の歴史という視野で大雨の被害を見たとき、それは何も珍しいものではなくなります。

 

そのような大雨や洪水と人間の関係、もっといえば水と都市との関係を考える学問で水都学というものが存在します。

はじめて聞いた、という人も多いでしょう。

 

そこで、今回は水都学と、そこから学べることを簡単に紹介してみようかと思います。

 

 

水都学とは

水都学とは、先程も言った通り、水と都市との関係を考える学問のことです。

 

水都というと、

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このような水の都ヴェネチアを思い浮かべるかもしれませんが、このようなきれいな都だけでを研究対象とするわけではありません。

もちろん、このような都市も研究対象にも入りますが。

 

どちらかというと今の水都学はメインはアジアの諸都市にスポットをあてている印象があります。

 

このようなヴェネチアのような都市でなくても、基本的に大きな都市にはだいたい近くに川が流れています

東京なら隅田川などがありますよね。

 

もっといえば海の近くに大都市が構えていることも多いです

東京や大阪だってそうだし、中国の上海、シンガポールなど世界中あげたらきりがないですね。

 

なぜ、大都市と水源は切っても切り離せないのか。

それは多くの人が生活するための水源の確保や、他地域との交流や貿易等の移動の便の良さ(今ある大都市は飛行機が発達する前の、船が主要な移動手段であったときに発展したことがほとんどなので)などの要因があります。

 

そのような都市と水との切っても切り離せない関係性を、都市工学や建築学、経済学、歴史学など多様な側面から考え、いくつもの都市を比較していくことがこの水都学の特徴であると言えるでしょう。

 

 

必ずある水の災害

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水と都市との関係において、歴史的に各都市は必ずと言っていいほど水の災害と向き合ってきました。

 

今の日本では都市機能が発達しているから、並大抵の雨では都市機能に被害はでません。

しかし、そのせいで僕たちは忘れてしまっているんですね。

 

自然との共生の大切さを。

 

現代においても洪水は当たり前で、それと向き合っている都市は世界中にたくさんあります。

タイでの洪水などを思い浮かべれば分かるかと思います。

 

水都学とは、人と水害と、自然の脅威と向き合ってきた歴史を学ぶ学問でもあるのです。

 

 

今回の西日本でおこった被害は、本来自然を完全にコントロールすることができないということを思い知らせたものでもあります。

 

今一度、自然との向き合いかたを考える必要があるのかもしれません。

 

その上で、水都学という人と水との向き合ってきた歴史や各地域ごとの在り方を知ることは何かヒントになるかもしれません。

もし機会があれば、もっと具体的な都市に踏み込んで紹介もしてみようかな、と思う今日この頃です。