本から明日をつくる

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かつてのドイツの戦争の裏にあった背景は豚とジャガイモ??

今日はドイツの第一次世界大戦とその後のお話を。

 

第一次世界大戦でドイツが破れ、その後の戦債(イギリスやフランスへの賠償金)で苦しみ、やがてヒトラー率いるナチス・ドイツが政権を握るのは有名な話ですよね。

そして、その後ユダヤ人の迫害や第二次世界大戦と歴史上類を見ないほどの悲劇へと向かってしまいます。

 

ドイツはなぜ戦争に走ったのか、について言及した本や論文は数多くあります。

そんな中でちょっとかわった視点からその原因に迫ったものがあるので、その説を紹介していきましょう。

 

 

原因は民衆の”飢え”

そう、その説とは、民衆の”飢え”にあったとするものです。

国家の政策や経済体制、国際関係などももちろん無視できるものではないけれど、民衆にスポットをあてているというところが研究的には面白いところです。

 

第一次世界大戦は史上初の総力戦戦争であったので、戦争が長引けば長引くほどそのつけは国民全体にまわってきます。

海外からの作物輸入は遮断されて本格的に食べ物がなくなっていきます。

 

その結果、1916年から17年にかけた冬、ドイツは70万人から80人万人の餓死者が出てしまったと言われています。

 

夏になっても食糧不足は続き、ベルリンの食料店の前には長い行列ができたほど。

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ドイツといったらソーセージ、というのは本当で、ドイツ人たちは豚が食べたくて仕方がなかったそうです。

しかし、豚が食べるジャガイモなどの摂取エネルギーが、当時のドイツ人たちが食べているものからの摂取エネルギーをこえているという考えが広まり、豚を殺してしまおうということがおこったほど。

 

豚を食べたくても豚の餌まで補っている余裕があるほど、当時のドイツ人たちにはお金もなく食料もなかったのです。

 

第一次世界大戦の終盤になると、ドイツでは1918年に革命がおこり、ワイマール共和国となります。

この革命も、大衆的蜂起によるところが大きいのです。

 

飢えに苦しんだ大衆は革命をしてまでも現実を変えなければ自分の生命が脅かされると感じていたのかもしれませんね。

 

 

飢えへのトラウマはナチス・ドイツ

ドイツ国民の多くは飢えに苦しんだトラウマを残したまま戦後のドイツを生きていました。

そして、どこからか、飢えに苦しんだ自分たち飢えに苦しむことのないお金を持っているユダヤという考えが広まりだしていくのです。

 

自分が苦しいときに自分よりもいい思いをしている人を妬んでしまうのは人のサガなのでしょうか…。

 

そして、そうした反ユダヤ人感情をうまく誘導したのが、アドルフ・ヒトラー率いるナチス政権でした。

 

 

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ヒトラーユダヤ人を強制収容所に連行し、大虐殺を行ったのは周知の事実。

しかしその悲劇のおおもとにあったのはそうした飢えへの、生命が脅かされる恐怖への民衆たちのトラウマがあったのかもしれません。

 

民衆が飢えに苦しんでいると政府への不信が募り、下手したら革命まで起きてしまう(というか実際に起きたわけです)ことをよく理解していました。

だから彼が政権を握ってもすぐに戦争の準備に移ったわけでなく、まずは国内経済の回復に努めました。

 

ヒトラーが政権を握る1933年のときはまだ国内で豚を食べつつ豚を食べる余裕はなかったそうです。

その3年後、ヒトラーは経済回復を達成するわけです。

 

こうして考えると、食べ物というのがいかに大切かわかります。

今の日本では文字通り食べ物があふれかえっているわけですが、こういう時代があったことも忘れてはいけませんね。

実際日本でも昔いくらでも似たようなことはありました。

 

生命への危険が人を本質的に動かす

この話からはそんなことを生べるかもしれないですね。