本から明日をつくる

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❮探訪❯石炭の町、夕張を訪れる②~財政破綻を経た現在の姿~

 先日夕張の石炭博物館を訪れた話を書きました。 honkaraasuwotukuru.hatenablog.com

 今回の記事では石炭博物館以外に見た夕張について書いていけたらなあと思います。

 

 まずは夕張駅。 

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 とても可愛らしい外見です。

駅の色は夕張メロンの色を意識しているのかなと思わせるような色です。

 

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 線路は単線で、ずーっと線路が伸びていく感じがとても絵になります。

 

ただ、残念ながら夕張市の人口減少の影響もあってこの石勝線夕張市線は2019年3月にも廃止される見通しとのことです。

 

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 夕張駅の中にはちょっとした観光案内所も入っています。

手作り感が伝わるゆっくり夕張あれこれマップというものもおかれていました。

 

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 また幸せの黄色いハンカチを意識しているのでしょうか。

幸せになろうよ」「メロン食べたかった 夕張市がんばれ!」

といった旗のようなものもありました。

書かれている内容だけに何か胸が痛くなります…

 

駅を出て左手にある夕張屋台村、通称「バリー屋台」ではご飯を食べることができます。

内装は屋台のような感じで(写真撮り忘れました…)いい雰囲気が出ていました。

 

 

夕張名物カレーそばを注文。シンプルな味でそこがまたよい。

 

f:id:honkaraasuwotukuru:20180220235747j:plainこの屋台村は財政破綻した3年後の2009年9月にオープンしました。今のままでは夕張市が暗いからまずは駅の周辺から賑わって人が集まる場所を作りたい、そんな思いでこの屋台村は建てられたそうです。

中の壁に書かれていた「私たちの想い」という文章を読むと、今現在も夕張市に住み、夕張を愛して前を向いている人たちがいるのだと思い知らされます。財政破綻という言葉からは人々の暮らしは見えないけれど、そこには確実に温かいぬくもりのある暮らしが存在しているのです。

 

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 町中を車で走ると、赤い屋根をもった同じような建物がたくさん目に入ります。

これは昔の鉱夫とその家族が暮らした炭鉱住宅で、そこに住む人はだいぶ少なくなっているそう。

 

現在夕張市コンパクトシティ計画というものを進めています。清水沢地区というところに行政の一部、福祉・医療やスーパーなどを集約し、そこに住民に添書してもらうことを推奨してもらう計画で、地方における町開発の例として注目を集めています。

実際僕もこの目で見ましたが、碁盤の目の上に一つずつ家が建っているがごとく一つつの場所に家が綺麗に密集していました。そこには人もちらほら見えて実際に生活しているんだなというのが分かります。

この清水沢という地域、実は夕張駅から少し離れています。住民の半分がお年寄りの夕張では清水沢から駅への移動も大変なのかなと思うと、夕張市線が廃止していしまうのも分からなくはないかもしれない…。

今後は電車の代わりにバスを公共交通手段として浸透させていくようです。

 

 

次に廃墟となっている清水沢火力発電所に行きました。

これは廃墟なのですが、旧北炭の火力発電所をアートの力で蘇らせて夕張の炭鉱の歴史を今に伝える夕張清水沢アートプロジェクトのもとで、一般に公開されいます。

詳しくは以下HPを参照してください。

清水沢アートパワープラント/旧北炭清水沢火力発電所活用事業 | 清水沢プロジェクト

 

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見た目はこんなかんじのところです。

 

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中はこのようにかつて火力発電に使っていた機械が残っています。

このようなものを見る機会はなかなかないのでとても勉強になります。

 

 

そして最後に紹介するのは、清水沢ズリ山です。

ズリとは石炭採掘時に選炭され生じた捨て石のことで、そのズリを積み上げてできたのがズリ山です。

 清水沢ズリ山も、清水沢アートプロジェクトを契機に住民たちも加わって山の整備に参加したことで、気軽に登ることのできる山(山といっても丘というイメージのほうがあっているかもしれません)として親しまれているそうです。

 

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わかりづらいかもしれませんが、黒い石は石炭です。

 

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 ズリ山の頂上から見る夕張の景色はそれは美しいものでした。

 

財政破綻、人口減少、高齢化など、暗いイメージがつきがちな夕張。

実際僕も実際に訪れるまではそう思っていました。

しかし、実態は美しい自然、日本にとって欠かすことのできない歴史、そして過酷な現実にも挑戦して新たな道を模索しつつ昔から引き継がれた炭鉱の町の温かさを持ち続ける人たちがそこには存在しています。

夕張を訪れそこで見たものは心に深く刻まれました。

夕張の本当の姿、ぜひ多くの人に知ってもらえたらいいな、と思います。